重要事項説明書について徹底解説!注文住宅で気をつけるべきポイント

不動産の売買契約時には宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。

重要事項説明では、購入予定の物件の詳細や法令上の制限の説明を受け、内容に納得したら重要事項説明書にサインをします。

今回は、重要事項説明書に記載される内容を徹底解説します。

目次

重要事項説明書の基本的な事項について

重要事項説明書で説明する内容の内、宅地建物取引士についてや取引態様の確認、物件の基本的な事項などを紹介します。

重説で説明する宅地建物取引士の内容

重要事項説明は宅地建物取引士が行うこととなっており、宅地建物取引士は説明時に宅地建物取引士証を提示した上で説明する必要があります。

重要事項説明書では、説明をする宅地建物取引士の登録した都道府県や登録番号、所属する組織などを記載します。

聞き手としては、説明をしている宅地建物取引士がどこの都道府県から免許を受けているか、更新手続きを行っているかなどを確認することができます。

重説で説明する取引態様の内容

取引の態様では、売主や代理、媒介など、取引する宅建業者が不動産売買にどのように関わっているかを説明します。

売主とは?

取引態様が売主であれば重要事項説明書に記載されている宅建業者が直接の売主であることが分かります。

宅建業者が売主の場合、瑕疵担保責任などに8つの制限が課されます。

自ら売主制限(8種制限)について

宅地建物取引業者が売主となる場合、8種類の制限が課され、買主としては有利に取引を行うことができます。

  1. 自己所有に属しない物件の売買契約禁止
  2. 事務所等以外の場所で申込み・契約した買主はクーリングオフが可能
  3. 損害賠償額の予定または違約金は代金額の10分の2を超えてはならない
  4. 代金の10分の2を超える額の手付は受領できない
  5. 瑕疵担保責任で民法より買主に不利な特約は無効
  6. 手付金等の保全措置
  7. 割賦販売契約の解除等の制限
  8. 所有権留保の禁止

代理とは?

取引態様が代理であれば、重要事項説明書に記載されている宅建業者は売買される不動産の所有者の代理として手続きを行っていることになります。

媒介とは?

取引態様が媒介であれば、重要事項説明書に記載されている宅建業者は不動産の売主や買主、もしくはその両方の売買契約の仲介をする立場にあることが分かります。

重説で説明する売買物件の基本事項の内容

売買物件の所在地や地目、面積などを確認することができます。

物件概要とは?

物件の所在地や地目(宅地や畑など)、面積、売主の住所氏名を確認することができます。

登記簿があれば登記簿の内容と相違ないかどうか確認すると良いでしょう。

何らかの内容で謄本と記載が違う場合、その理由の説明を受けます。

抵当権とは?

抵当権とは、住宅ローンを組む時に、対象の物件に設定することで返済が滞った場合などにその物件を差し押さえられる権利のことを指します。

売買しようとしている物件に他人の抵当権が設定されていれば、その抵当権者に差し押える権利を与えることになってしまいます。

そのため、売買契約を締結する場合、他人の抵当権が設定されていないかを確認します。

重要事項説明書の法令上の制限(都市計画区域と用途地域)について

不動産は都市計画法や建築基準法を中心に、さまざまな法令の影響を受けます。

新築の場合はどのような用途でどの程度の規模の建物が建てられるのか、また中古住宅を購入する場合には再建築や増築が可能なのかどうか等を確認しましょう。

市街化区域と市街化調整区域

都市計画法では日本全国

  • 原則として住宅を建てられる市街化区域と
  • 原則として住宅を建てられない市街化調整区域
  • そのどちらにも属さない非線引き区域

が定められています。

市街化区域とは?

市街化区域は、

「すでに市街地を形成している区域およびおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域

であり、用途地域が定められます。

購入する土地や中古住宅が市街化区域にあるのであれば、住宅の新築の許可については問題ありませんが、用途地域による高さ制限や建ぺい率、容積率に注意する必要があるでしょう。

建物を新築する際には建築基準法の規制をクリアする必要があります。さまざまある規制の内、建ぺい率は建物の面積に関する規制です。本ページでは建ぺい率についてご紹介します。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域は原則として市街化を抑制する区域で、用途地域は定められません。

原則として住宅の新築は許可されませんが一定の要件を満たせば住宅を建てられることもあります。

対象の土地が属する自治体によって許可の要件は異なるため、不動産会社に確認すると良いでしょう。

一時期、市街化調整区域でも住宅の建てやすい時期がありましたが、最近ではコンパクトシティ化を進めるため、市街化調整区域での建築許可が下りにくくなっています。

用途地域とは?

用途地域とは、地域における建物の用途に一定の制限を設けるもので、住居専用地域や商業地域、工業専用地域など12種類あります。

第一種・二種低層住居専用地域

第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域は12種類ある用途地域の中でも一番制限が厳しく、周りにコンビニやカラオケができず、マンションなどの高層建築物も建たないため、静かに暮らすことができる、というメリットが有ります。

「低層住居専用地域」という名称の通り、高さ制限が厳しく、10mもしくは12mの「絶対高さ制限」が課され、10mもしくは12m以上の建物を建てることはできません。

第一種・二種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域は低層住居専用地域の次に規制が厳しい用途地域で、一定の制限のもと500㎡(第二種は1500㎡)以下の店舗が建築可能です。

住宅街としてはコンビニや個人商店などが周辺に建つ可能性があり、便利である反面、騒がしくなる可能性があります。

低層住居専用地域のような絶対高さ制限はありませんが、低層住居専用地域と中高層住居専用地域のみ、北側の隣地からの距離に応じて高さの制限が課される北側斜線制限が課されます。

第一種・二種住居地域、準住居地域

住居系用途地域の中では一番規制が緩やかで、第一種住居地域であれば3,000㎡、第二種住居地域であれば10,000㎡まで建てられ、また建築できる建物の用途もホテルや工場、パチンコ店やカラオケボックス等も可能となります。

近隣商業・商業地域

近隣商業地域、商業地域は住宅も建てられますが店舗等の建築が主流となる地域に指定される用途地域です。

ほとんど全ての商業施設や遊戯施設が建築可能で、風俗営業用の建築物も建築可能。

容積率も高く大規模な建築物が建てられることが多い地域です。

土地の情報では容積率という言葉が載っていますが、どういったものかご存知でしょうか。容積率は、簡単に言うとその土地の上に建物を建てる時、どの位の規模の建物が建てられるのかを定めたものです。今回は、容積率についてお伝えします。

準工業・工業・工業専用地域

主に工場が建てられる地域で、準工業地域や工業地域では住宅を建てることもできますが工業専用地域では12の用途地域の中で唯一住宅を建てることができません。

いずれにせよ、住宅を建てるのにはあまり適さない地域です。

重要事項説明書の法令上の制限(高さ制限)について

重要事項説明書では建築や不動産に関する法律の説明がなれますが、その内大きなものが都市計画法と建築基準法の2つです。

都市計画法で用途地域が指定され、建築基準法で用途地域ごとに建ぺい率や容積率が設定されます。

建ぺい率は敷地面積に対する建築面積の割合を表すもので、用途地域ごとに制限が設定されます。

例えば、敷地面積が200㎡、建築面積が50㎡であれば建ぺい率は25%となります。

>建ぺい率ってなに?建ぺい率オーバーの物件はどうすれば良い?

一方、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合を現すもので、例えば敷地面積が200㎡、延床面積が100㎡であれば容積率は50%となります。

>容積率ってなに?土地が小さい時に役立つ容積率の緩和も解説

また、建ぺい率や容積率とは別に用途地域ごとに高さの制限が課されます。

建築物の高さの制限

建築基準法により、用途地域ごとに建物の高さを制限する5種類の高さ制限が設定されます。

絶対高さ制限とは

絶対高さ制限は第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域に建てられる建物に設定される制限で、建物の高さを10mもしくは12m以下にする必要があります。

建築物の高さは通常、土地の地盤面から建物の屋根頂部までの高さのことを指します。

絶対高さ制限に指定されている地域だと3階建ての建物や、高い屋根の2階建ての建築は難しくなります。

北側斜線制限とは

北側斜線制限は低層住居専用地域(1・2種)と中高層住居専用地域(1・2種)に指定される制限で、北側隣地の境界線から5mもしくは10mの高さから1.25倍の勾配を持つ斜線内にしか家を建てられない、というものです。

建物は陽当たりを確保するため南側に空き地を設け、北側はギリギリまで詰めることが多いですが、北側斜線制限のある地域では北側に一定の距離を空ける必要があります。

これは、北側の隣地に一定の日照を設けるためという目的があります。

道路斜線制限とは

道路斜線制限は全ての用途地域に指定される高さ制限で、住居系用途地域とその他の用途地域で規制の厳しさが異なり、住居系用途の方が厳しい制限を受けます。

道路斜線制限は道路の採光や通風を確保することを目的とした制限で、敷地の前面道路の反対側の境界線から一定の勾配(住居系=1.25/それ以外=1.5)をもつ斜線の内側にしか家を建てられません。

前面道路の幅が6mあれば境界線の時点で6×1.25m=7.5mか、もしくは6×1.5m=9.0mですが、幅4mの道路だと4×1.25m=5m、4×1.5m=6.0mと、比較的厳しい制限となってしまいます。

隣地斜線制限とは

隣地斜線制限は低層住居専用地域(1・2種)以外の用途地域において定められる高さ制限で、隣地の採光や通風の確保を目的とします。

一定の高さ(住居系=20m/それ以外=31m)から一定の勾配(住居系=1.25/それ以外=2.5)を持つ斜線を引き、その内側にしか家を建てられません。

一番厳しくても、境界線の時点で20mあるので一般的な戸建て住宅を建てる分にはあまり影響がないと言えるでしょう。

日影規制とは

日影規制は全ての用途地域において定められ、一定時間以上の日影を一定距離の範囲に生じないようにする高さ制限です。

低層専用住居地域と用途地域の指定のない地域では、「軒の高さが7mを超える」か「地階を除く階数が3階建てのもの」が、その他の地域では「軒の高さが10mを超える」建物が制限の対象となります。

冬至日の太陽が真南に来た時を12時とし、午前8時から午後4時までの間に生じる日影の影響が検討されます。

都市計画法・建築基準法以外の法令

不動産は都市計画法、建築基準法以外にも多くの法令の制限を受けます。

  • 宅地造成に関する宅地造成等規制法
  • 景観に関する景観法
  • 空港近くの不動産上空の利用について書かれた航空法
  • 古都保存法
  • 都市再開発法
  • 河川法

など50近くになりますが、1つの不動産にこれらの内、多数が該当することはあまりありません。

該当する項目がある際にはどういった法令なのか説明をする宅地建物取引士に確認するようにしましょう。

重要事項説明書の飲用水、電気、ガス、給排水設備の整備状況について

建物の中に水や電気、ガスをどう引き込むのか、またどう排水するのかといった設備の整備状況について説明を受けます。

新築であれば、もともとあった古い設備を再利用できることもありますし、すでに建物があっても設備が老朽化して修理しなければならないこともあります。

ガスの整備状況とは

都市ガスが供給されているかどうかや、プロパンガスを利用するのであればどのガス会社のものを利用するのかの説明を受けます。

都市ガスが供給されているエリアではガス仕様の住宅でも光熱費をお安く利用できるでしょう。

郊外の土地で都市ガスが供給されていない場合、今後も新しく供給される可能性は低いため、新築住宅ではオール電化住宅を選んだ方が良いでしょう。

電気の整備状況とは

電気の引き込みと、利用する電力会社について確認します。

住宅に電気を引き込む電柱が近くにある必要があり、ない場合には別途負担金が発生する可能性があるのに加え、最悪建物が建てられないケースもあります。

上水道の整備状況とは

給水設備の引き込み状況を確認します。

住宅が建てられたことのない土地であれば、前面道路に配管があっても宅地内に引き込まれておらず、宅地内に引き込み工事をする必要があります。

また前面道路に配管がない場合や、配管があっても土地が広く前面道路まで距離がある場合には別途費用がかかります。

膨大な金額となるケースも考えられるため、配管や引き込み状況は必ず確認するようにしましょう。

下水道の整備状況とは

下水道等への排水状況について確認します。

下水道が通っている地域であれば下水道に、そうでない場合には合併浄化槽に排水します

下水道が通っている地域では、毎月下水道使用料を支払う必要があります。

一方、合併浄化槽を設置する場合には最初に数十万円の設置費用を支払う必要があるのに加え、数ヶ月、数年おきに整備費用を支払う必要があります。

また、下水道の通っている地域であっても、その地域に下水道の整備がなされたばかりだと別途負担金を支払わなければならないこともあります。

排水施設とは

雨水や雑排水をどこに流すのかについて記載されています。

通常は勾配をつけて近くの側溝に流すよう計画がされます。

重要事項説明書の災害系の法律や石綿、各種診断について

重要事項説明書で解説する項目の内、災害系の法律について解説します。

災害系の法律には

  • 造成宅地防災区域
  • 土砂災害警戒区域
  • 津波災害警戒区域

などがあります。

造成宅地防災区域とは

造成宅地防災区域は、がけ崩れや土砂崩れで災害が発生するおそれの大きい宅地造成地として指定される区域です。

造成宅地防災区域に指定された土地の所有者は擁壁の設置に関する勧告や命令を受けることがあります。

造成宅地防災区域に指定された土地であっても取引自体に影響はありませんが、将来擁壁の設置に関する命令を受ける可能性があることや土砂崩れの発生しやすい土地であることには留意する必要があるでしょう。

土砂災害警戒区域とは

土砂災害警戒区域は、土砂災害の発生する恐れの高い地域に設定される区域で、警戒区域(イエローゾーン)と特別警戒区域(レッドゾーン)があります。

警戒区域では災害情報の伝達や避難が早くできるよう、警戒避難体制の整備が求められます。

特別警戒区域では建築物の構造に規制が課される他、開発行為が許可制となり、また場合によっては建築物の移転が求められることもあります。

警戒区域であれば特に規制がかけられるものではありませんが、土砂災害が起こりやすい地域であることには注意が必要です。

津波災害警戒区域とは

津波災害警戒区域は、津波にによる人に関する災害を防止するために指定されるもので、指定された区域では警戒避難体制を整備する必要があります。

土砂災害警戒区域と同じく、津波災害警戒区域にも特別警戒区域があり、特別警戒区域に指定されると開発行為や建築物の建築に制限を受ける可能性があります。

重要事項説明書の石綿使用の有無や各種診断について

重要事項説明書で解説される項目の内、石綿(アスベスト)の使用の有無や各種診断について解説します。

石綿(アスベスト)使用の有無とは

宅地建物取引士は、取引する土地についてアスベスト使用の有無を報告する義務があります。

アスベストは安価で耐久性に優れているため過去、大量に使われていましたが、人体に悪影響があると結論づけられ、1989年以降アスベストの使用は禁止されています。

1989年以前の中古住宅や中古マンションの場合にはアスベストが使用されていることがありますが、アスベストが使用されているからといって即危険というわけではありません。

使用されているのであれば飛散しないためにどのような措置が取られているのかを確認するようにしましょう。

建物の耐震診断の有無とは

建物の耐震診断の有無を聞きます。

耐震診断を受けていないって大丈夫か?

と思うかもしれませんが、新築住宅の場合一定の耐震基準を満たしていないと住宅を建てることができないため、新築住宅イコール一定の耐震性を備えていると判断することができます。

1981年以前に建てられた建物(旧耐震基準)では、住宅ローン控除を受けることができないので注意が必要です。

また、旧耐震基準でも耐震診断を受けて一定の耐震性を備えていると診断されれば控除を受けることも可能となります。

住宅性能評価の有無

住宅性能評価は構造や火災時の安全、劣化の軽減などの各項目について専門業者が1〜3点の評価をつけていくもので、その建物の評価を客観的に数値で把握することができます。

無くても問題ありませんが、受けておくと買主は安心して購入することができるでしょう。

重要事項説明書の住宅ローンについて

重要事項説明書には、不動産購入にあたって利用する住宅ローンの金融機関名や金利、借入額などが記載されています。

また、ここでは住宅ローン特約についても記載します。

住宅ローン特約は契約後、住宅ローンがの承認が得られない時に無利息で手付金の返還を受け解約できるもので、住宅ローン特約の利用には期限が設けられます。

期限は売買契約日から2週間〜1ヶ月程度であることが多く、その日付を越して住宅ローンが非承認となった場合には支払った手付金が返還されない可能性もあるため注意しましょう。

割賦販売とは

割賦販売とは、商品を購入する時に複数回に分けて支払う方法です。

割賦販売は家具や家電での利用が多く、不動産の売買において割賦販売されることはほとんどありません。

全額入金した段階で不動産の所有権移転がなされるからです。

住宅新築の場合は着手金や中間金といった名目で複数回に分けて入金することもありますがこれは割賦販売には該当しません。

また、不動産購入時に住宅ローンを利用する場合も割賦販売には含まれません。

重要事項説明書の瑕疵担保責任について

瑕疵担保責任とは、取引する不動産に瑕疵(見えない欠陥)があった時に、売主がその瑕疵について責任を負わないといけない、というもので、重要事項説明書では瑕疵担保責任の履行に関する措置について説明されます。

瑕疵担保責任の履行に関する措置とは、取引する物件に関して瑕疵があった場合に、売主が負うべき責任や負担について書かれます。

ここでは主に、不動産会社が売主だった場合にその不動産会社が倒産してしまった場合に措置をとっているかどうかの説明がされます。

新築住宅の場合には住宅瑕疵保険への加入が義務つけられますが、土地や中古マンションの場合には瑕疵担保責任の履行に関する措置が講じられていない場合もあるので注意が必要です。

供託所とは

不動産売買では最初に手付金を支払い、最終決済で残金を支払い、所有権移転することになります。

買主としては手付金を支払ったものの決済前に不動産会社が倒産してしまい、手付金が返ってこないリスクもあります。

そのため、宅地建物取引業者は営業保証金を供託所に供託するか、宅地建物取引業保証協会に加入することが義務付けられており、上記のような事態に陥った際には供託所から手付金等の返還を受けることができます。

重要事項説明書では、営業保証金を供託している供託所や宅地建物取引業保証協会の所在地について説明を受ける事になります。

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